« 2008年9月7日著 「上海旅行のお薦めスポット」 | トップページ | 2008年9月12日著 「上海動物園」 »

2008年9月11日著 「過去の日本や文化大革命への複雑な思い」

今回の上海滞在を通して、いままで中国のことを誤解していたと思うようになった。政治家を除く中国の一般市民からみた抗日戦争や文化大革命というのはなんだったのであろうかということが今まで隣国日本にいて断片的にしか情報も入らないし、中国人にこうしたことへの思いや意見も聞いたことがないのに、「中国は・・・、中国人は・・・」という勝手な議論をしてきたように思った。

今回、上海にあるいくつかの歴史博物館や歴史的な名所を訪れ、そして60歳のツアーコンダクターの方から「文革によって私は・・・」という率直な話を聴き、ホームステイをした家族など普通の人の生活を見てまったくわからなかった中国のこの150年について考えることができた。以下にいくつか考えたことを記す。

中国のこの150年の歴史は、1840年の阿片戦争から1947年までの100年間にわたる屈辱の列強帝国からの侵略時代と、その後の国家独立した 60年間があるが、この60年間の間に多くの中国人が同じ中国人を弾劾し死亡事件も多発したといわれる15年間の文化大革命(1966-1981)の時代 があった。文化大革命については鄧小平の「毛沢東については七分功、三分過」と言う公式評価が1981年にされて集結したが、私があったツアーコンダク ターの方から「私の18歳から33歳の貴重な年代が文革によって台無しにされた」というお話を聞き始めて彼の年代の普通の中国人にとってのこの150年間 の中国の歴史を考え複雑な歴史・歴史観を感じることとなった。

いままで私は、日本のマスコミを通じて得る知識として「中国では第二次大戦の事を抗日戦争と呼んでいる」ということで、日本は中国大陸に侵略をし、時には駐留軍人の勝手な殺戮や横領、時には日本人特有の組織的な暴走でそれらを侵し、二度としてはいけない過ちを中国大陸でしてきたのだと思った。そして彼らは毛沢東をリーダーとして抗日戦争を勝ち抜いて主権国家として独立したという尊厳を持つ愛国心も醸成してきたのだと思ってきた。

これはこれで間違いのないことであると思う。しかし「80后」と呼ばれる1980年以降生まれの若者の両親の世代から言うと、この1947年以降の独立国家の中国が人生の中心となり、例えば上述のツアーコンダクターの歴史で言えば18歳から33歳の人生一番大事なときに文革の大きな時代潮流に身を置いたことになる。

文革の評価は千差万別あり肯定・否定さまざまであると思うが、wiikipediaに記載されていたコメントによると、「共産党指導部に煽動された暴力的な大衆運動によって、当初は事業家などの資本家層が、さらに学者、医師、高級官僚などの知識人等が弾圧の対象となった。その後弾圧の対象は中国共産党員にもおよび、多くの人材や文化財などが甚大な被害を受けた。期間中の行方不明者を含めた虐殺数は、数百万人から約3000万人といわれ、これによって中国の経済発展は20年遅れたと言われている」とあった。前述のツアーコンダクターは、勉強もでき大学に進学して国際社会について学びたいと思ったがそれはかなわず地方に飛ばされて製鉄会社の労働者として社会人人生がスタートしたという。彼は当時として千載一遇のチャンスをこの製鉄会社で得ることなり、日本の技術書を読むために日本語を学習する機会を得て、中国共産党の通訳となることができたようであるが、本当にこれは千載一遇のチャンスであったという。

彼から聞いた話としては、「多くの歴史建造物は、貴族や中産階級の富の象徴とみなされることが多く、千年以上の歴史ある中国文化の財産を中国人の地域大衆が破壊をしてしまった」という。彼に連れて行ってもらった多くの施設はそれを逃れたものであるらしいが、門扉にある彫刻等が破壊されている光景をまざまざと見た。「この地域の大衆運動のリーダーは、歴史建造物を破壊するのを慮り一部の破壊の指示で大衆の怒りを収めた」と言っていた。また家族旅行などもブルジョアの趣味の世界であり、宗教同様に禁止をされたことであり、中国人は欧米人や日本人のように毎年家族旅行をして楽しむ風習が根付くには相当かかるだろうと言う。

現在60歳の彼の歴史を聞くと、誕生前の抗日戦争よりや独立後の権力闘争の混乱期の方が中心となるのが事実である。そして彼らの子どもたちがこれからの中国を担う80后である。彼らの親世代が思う 「日本や文化大革命への複雑な思い」が現代の中国人の考えの基盤になっているのだろうと感じた。中国の歴史や文化の尊厳を壊したのは、同化政策を強要した日本帝国軍でもあるが、それ以外に自分たちでも壊してしまった。その上でこれからの日本との付き合いをどう考えるか。上海で訪れたいくつかの歴史博物館では抗日戦争の色はすっかり取り除かれていた。若いスタッフにそのことを質問すると「日本は中国にとって大事な友好国ですから。日本の博物館でも日米戦争の事をあまり表現していないのではないですか」と逆に聞かれた。彼らは日本の現政権が戦争を正当化しようとすると当然怒るが、歴史は歴史ということにしたがっているように感じた。

ホームステイ先にも毛沢東の肖像画は置いてなかった。聞くことができなかったが、捨ててはいないと思うが、もう時代が変わり21世紀の中国としてあらたな規範を歩み築き始めているのだと思う。

|

« 2008年9月7日著 「上海旅行のお薦めスポット」 | トップページ | 2008年9月12日著 「上海動物園」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1095836/23665457

この記事へのトラックバック一覧です: 2008年9月11日著 「過去の日本や文化大革命への複雑な思い」:

« 2008年9月7日著 「上海旅行のお薦めスポット」 | トップページ | 2008年9月12日著 「上海動物園」 »