2008年9月18日著 「景気動向に関する報道について思うこと」
最近のマスコミの報道について、どの立場で論じているかが混乱して話されていることが多いように感じる。
例えば「中国のバブルは終わり景気が停滞するであろう」という報道は、話し手が「(もう中国の市場は後退し先が危ない)」という認識で話していると感じることが多い。「中国株への投資」という立場であれば、確かに当面はストック商品の購入は手控えた方がいいという意味で危険であるが、そういう意味では今年は日本市場のものも危険であるといえよう。
短期的な投機を求めて経済動向を観察する人と、市場開発を求めてビジネス進出を考える場合では大きく違うと考える。
日本市場は「少子高齢化で、2008年現在の平均年齢は44歳」である。会社組織で言えば「平均年齢44歳のサービス業」というイメージの企業を想像する となんだかゾッとする。また世代間闘争があるとするならば一番力のある団塊の世代は「正社員として60歳以降も雇用してもらいたい」と言い、「老齢年金も1 万円たりとも減ってはいけない」とも主張する。それは当然の主張ではあるが、彼らの子どもたちの団塊ジュニア未満の年齢層は『日本的経営の雇用制度』からは何の保障もない非正社員で、来年の収入が1万円下がるだけなら恩の字であり解雇も覚悟している。老齢年金など当てにしていない将来像であり、そうした経済的な不安定感から結婚願望も身分不相応と考えるものも少なくなく、その結果子どもを持てないと考えている。
市場開発やビジネス展開を考える上で、人口が減りながら平均年齢が上がっていく市場に進出が進むのであろうか。小さい子どもがいる家は衣食住に関して好むと好まざるに関わらず出費は増えていく。結果的にビジネスチャンスが増えていく。しかし50歳を超えて子どもに手がかからなくなる家庭はどうであろうか。衣食住にかかる経費は上がるよりは下がるであろう。ましてや収入は減る、貯蓄は減るという状態であれば。もともとこの世代は二極化が大きく進み、毎年2度も海外旅行できる人と、食うに困る/光熱費も払えないという世代に分かれつつある。もちろんこれは他の世代でも21世紀ミレニアム以降で同様となった。アメリカ同様に貧富の差が大きい社会となった。
もしあなたの企業が「富裕層狙いのビジネス」をしている企業であれば、「一人当たりのGDP」などの市場の平均値を見ることは意味をなさない。もしあなたの企業が「一般的な家庭の生活必需品やサービスを提供するビジネス」をしている企業であれば、家計所得が年々下降していく日本のマーケットでは、「対前年比が年々下がっていくのが基本構造」となる。
こうした視点で、日本市場への投資を考える企業が健全であろうか。右肩上がりの市場への対応であれば従来どおりの手法で一生懸命やって社員数も増やしていけばいい。右肩下がりの市場へ新規参入するということであれば、市場成長率(縮小率)に呼応して社員数を減らしていかなければならない。販売件数が減れば人はいらなくなる。
これは日本市場だけでなく、米国市場も同様である。米国市場は積極的に移民を受け入れることにより若い人を中心に人口が増えてきて、その結果子どもも増えて一般家庭の市場が大きくなってきたが、サブプライム問題で被害にあった人の5%以上が家を奪われてしまうという予測もあるようである。これは食うや食わずの状態となり、いままでのコモンセンスで言えば生活必需品であった廉価な自動車や外食産業の利用もおぼつかなくなるであろう。使い捨ての食器で食事していた家庭がそんなもったいないことなどできないとなるであろう。「一般的な家庭の生活必需品やサービスを提供するビジネス」をしている企業は利益が取れない市場になっていく可能性がある。「富裕層狙いのビジネス」は平均値など関係ないが、しかしストック商品で大損をした家庭は最低生活から大きく離れた贅沢な浪費は控えるであろう。もともと大金持ちになれる人は倹約できる人が多いともいう。
日本のマスコミでは「中国はバブルが弾けて株価は半減。マーケットは縮小するであろう」という報道が盛んであるが、中国市場に対する短期的な投機は手控えるべきであるのは当然であるが、投機など関係ない生活をしている日本の多くのサラリーマン家庭や生活必需品やサービスを提供している商店等の零細事業者にとって、この言葉を鵜呑みにすることに何の意味があるのであろうか。大事なのは私たちの所得があがることであり、所得が上がることによって一般生活品に対する消費が年々増えていく市場の仕組みを作ることである。
こうした本質的な日本社会の問題、経済対策がうまくいかない日本の政治システムの問題から目をそらし「隣の不幸を喜ぶ○都人」のような報道をするテレビ局と新聞雑誌社はどんなものであろうか。
ちなみに上海では、「企業は従業員給料を対前年比で11%以上上げなければならない」という指導方針が共産党支部から出ているようである。中国市場は1990年以前の日本市場のように右肩上がりの市場であり、またもう一つの共通点として「GDP第二位の市場」となる。短期的な投機を求める人にとっては手控えすべき市場であるが、市場開発を求めてビジネス進出を考える企業人にとっては魅力的な市場であろう。
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