2008年9月4日著 「21世紀の成長ビジネスのひとつ “電池産業”」
先月1ヶ月間、中国人の家庭にホームステイをしながら語学学校に通って、人々の生活や発展の様子を自分の目で見るという経験をした。実は20年以上前にも一度上海旅行にいったことがあるのだが、その頃は幹線道路も自家用車は稀有で自転車ばかり、日が暮れると上海のような街でも街灯がなく本当に真っ暗なところだった。それから20年経ち大きく変容していた。道路は自動車で大渋滞しネオンひしめく近代的な大都市へと変わり別世界となっていた。それは大都市の上海だけでなく滞在中に訪れた近隣の蘇州や杭州などの街も同様であった。あちこちにケンタッキーやスターバックスなどの外資店舗も立ち並び、中国のカップルや家族連れが近代化されていく文化に融け込み楽しんでいた。
この急速に発展するいくつかの上海・蘇州・杭州などの街でみた風景などから思うものがあった。「この国では思ったよりも期待するようには自動車は売れないかもしれないな」ということである。そして「太陽電池や電動自転車の電池は相当に売れるかもしれない」ということ。こうした仮説に至った要素要因として次のことをあげたい。
1) 交通渋滞が逼迫しており、上海のような大都市ではマイカー通勤は困難である。それよりは地下鉄などの公共交通の開発と改善に市民の意識が向くのは当然と考えられる。
2) また地下鉄やバスがない地域に住む人はマイカー通勤でなく自転車が多いのだが、とはいってもそれは旧式の自転車でなく電動自転車であった。私のホームステイ先近くの駅の自転車置き場の自転車を数えると5台に2台以上は電動自転車だった。
3) 世界的な問題となっている急速な中国の炭素ガス排出問題の国際的な圧力に対して、中国政府は (日本政府では決断できないかもしれない)大胆な消費税によるコントロール政策を8月に発表した。「3リットル車以上の購入には40%、1リットル以上に は30%の消費税をかける」という内容である。今までは15%であった。なお逆に1リットル未満車は大幅減税で15%が1%となった。スズキやダイハツの ような軽自動車メーカーにとってはこの政策は大歓迎であるが、トヨタ・日産・その他欧米のメーカー等にとっては苦々しいものであろう。
4) だだっぴろい広大な平地を持つ中国では、上海郊外にもどんどんと新興開発をし、国内外から集まる人口の500万人が住めるベッドタウンを開発 しているという。21世紀国家プロジェクトとして、この500万人が新たに住み着く居住区は太陽光発電でまかなう計画も立ち既に着工もしている。多くの上 海の住民は集合住宅に住んでおり東京では戸建ても多くなかなか進まない既築物件への太陽光発電設備の取付けもお国柄進む可能性もある。また開発途上の中小 都市は電力供給が充分でなく、また中国の発電所の多くは火力発電所であることから、産業振興などで需要が増やすにはその自治体政府が電力の工面を計画する 必要があるが、太陽光発電がひとつの解決策として考えられる。
上記1-3の要素要因から、「自転車メーカー(タタやスズキ自動車をはじめとしたバイクメーカーを含む)はこぞって、低廉価で高性能の電動自転車ま たは軽自動車の開発をして、中国マーケットを席捲したがるのではないか」という推察をしている。また上記4の要素要因から各自治体政府は「太陽光発電の小 型電力会社の設立モデル」を早急に検討し始めるであろう。折しも昨今の石油価格高騰が製造原価を上げ物価を上げて消費が停滞した苦い経験を持つ。石油に依 存しないで優秀な職人が作る商品は他国の競合商品よりも競争力があるであろう。そういう推察から、太陽電池のビジネスが大いに沸くと考える。
中国ではサンテック・パワー社という現在世界第三位の太陽電池メーカーが育ち、2010年までには生産を2倍増やして年100万キロワットにし、世 界首位のセルズ社(ドイツ)と肩を並べるとのことである。サンテック・パワー社は中国国内だけでなく、欧州・米国にも新工場の建設を検討し、欧米・南米・ 中近東・アフリカ・アジアへとビジネス展開を進めていくとのことである。電動自転車ならびに軽自動車用の充電池の中国メーカーについてはまだ調べられてい ないが、これほど電動自転車が普及している国はないであろうから、過酷な利用環境や充電に耐えられる電池を安く作るポイントを中国の技術者は既に得ている のだと思う。これらの充電池単体の製造や販売でのビジネス、ならびに充電池を組み込んだ軽自動車の製造や販売というビジネスを、「脱石油」を目指している 国々の市場に売り込むこともできよう。こうしたビジネスは10年後には「2008年の石油価格の投機高騰の恐怖がそれに拍車をかけるものとなった」と言わ れるのかもしれない。
2008年の「1バーレル140ドル越え」の石油価格高騰の恐怖は、開発途上国をはじめとして深刻なリスクとして石油離れの模索が活発化していくで あろう。そして中国同様に元々の電力発電供給設備も不充分であるこうした国々では太陽光発電のインフラ構築をしてその電力を元に電気自動車や通勤用の電動 自転車という、日本や欧米の近代化の歴史とは異なる21世紀型のソリューションを前提とした社会醸成がされるのかもしれないと、20世紀末より急速に開発 が進んだ中国の社会を垣間見て思った。これらソリューションは開発途上国だけでなく先進国にも急速に展開されていくと考えられる。石油価格高騰の再発のリ スクもあるし、地球温暖化に歯止めをかける為にも石油依存からの脱却をするための社会的なソリューションの導入は時代の流れではないかと最近考えている。
関連参考情報:
https://www.toyokeizai.net/business/strategy/detail/AC/c30664a48396bcc09b89429a18b7bab3/
http://d.hatena.ne.jp/glocaleigyo/20070929/p3
http://portal.xfnj.com/msn/component/option,com_xfn_detail/Itemid,32/id,06238865/
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